歩行介助は、介助が必要な方の安全を維持する目的と、本人に体を動かす機会を提供する目的の2つの目的があります。
体を動かす気は十分にあっても、本人だけで歩くのは転倒リスクなどの不安がある場合、介護職が介助を行います。
一方、運動機能の衰えや気力の低下などで動く気を失いかけている人に体を動かす機会を提供するときも、介護職の介助の出番です。
歩行機能に限らず、体の機能は使っていないとどんどん衰えてしまいます。
しかも、自分で動くのが大変になってしまうと動く気力そのものが低下し、寝たきりや部屋に閉じこもりきりの状態になりかねません。
こうした環境は、認知症のリスクを高めてしまう恐れもあるのです。
さらに、介護が必要な方に歩く機会を提供することで、生活習慣病の予防にも役立ちます。
実際に厚生労働省でも、歩く機会を増やすことが生活習慣病の発症リスクの減少につながるとしています。
食べることだけが楽しみ、といった環境にならないためにも、歩行介助を通して歩く機会、移動する機会、外出する機会を設けることがとても大きな意味を持つのです。
また、歩行介助を受ける形とはいえ、移動する機会を設けることで介護が必要な方の意欲ややる気を高めることもできます。
歩行介助を通して、スタッフとのコミュニケーションや信頼関係を構築する機会も得られます。
歩行介助は、介助をする側と受ける側の両方が協力し合いながら行うという側面もあるため、日頃から双方がしっかりコミュニケーションを図ることが介護環境そのものを良くしていくうえで役立つのです。